直接網/不等距離間接網のサーベイ

直接網については,以下の項目について行なった. 1. 結合法,2. 次数,3. 直径,4. 特徴および参考文献. 本文中に解説した網に関しては,ここでの解説はほとんど行なっていない. アルファベット順.
名称 結合法 次数 直径 特徴および参考文献
base-m n-cube/ハイパクロスバ/Hypermesh 不等距離間接網に属する. Prodigy, R256, CP-PACSに利用. 本文5.4.2参照
CCC(Cube Connected Cycle) Hypercubeのノードをリングで置き換えた結合法 3 サイクル数をn, サイクルのメンバ数をlとすると 2log2 n + l/2 本文5.3.4.
CCTCube Complete Connection of Torus hyperCube, サブネットのハイパーキュー ブにバイパスリンクを加え,直径を減らすとともに, 階層を上げるたびに拡張 用のリンクを加える. Hypercubeより小さい Hypercubeより小さい 本文5.3.4.
Chordal Ring 全ノード(偶数に限る)をリング状に結び,3本目の線を a)奇数番目のノードiに対し,(i+w) mod Nノードへ, b)偶数番目のノードiに対し,(i-w) mod Nノードへ それぞれリンクを接続する. 3 N1/2 付加リングの代表[219]
Circular Omega MINのOmega網を輪にして,各スイッチの所にプロセッシングノードも付け た結合方式. 次数は4(2入力,2出力) N=n× log2nとすると,2n. 本文5.3.2.
Cubemat メッシュ上に縦横にバスを付けるとともに,スイッチを付加する.

様々なアルゴリズムが考案されている[218].
Crossed Cube 全体が対称になるように,ハイパーキューブのリンクを入れ換える. log2 N log2 Nより減る. 本文5.3.5.
dBCube Hypercubeでクラスタを作って,それをDe Bruijn結合する. dBC(c,d)は,c個のd次元cubeのDe Bruijn接続からなる結合網. 図はc=8, d=2のdBCUBEを示す. d+1 d(1+logr c) VLSI上のレイアウトについて詳しく検討されている[221]
De Bruijn 各ノードにr進数D桁で番号を振る. この数を1桁左にシフトして,空いた 所に任意の数を入れ,でき上がった数をノード番号に持つノードとの間をリン クで結ぶ. 2r logr 本文5.3.1.
Enhanced Hypercube ハイパーキューブがサイズにより, 余ったリンクを持っている場合,この リンクを繋いで交信を緩和する. log2 N 場合によっては log 2Nより減る. 本文5.3.5.
Express Cube k-ary n-cubeに対してスイッチを介した飛び越しパスを付加する.

飛び越しパスをねじることによって, 性能が上がる場合がある[222].
Express Torus トーラスを折り畳むことで, 長いラップアラウンドパスをなくすととも に,スイッチを配置して再構成可能にする.

スイッチの構成に現実的な検討が行なわれている[186]
Extended Hypercubes Hypercubeを8進ツリー状にピラミッド状に階層化した構造を持つ. 11 Hypercubeより小さい 本文5.3.5
Fat Tree 不等距離間接網に属する.CM-5に利用.本文5.4.1参照.
Fibonacci Cube Fibonacci数列に基づきΓnとΓn-1の同じ構造 の対応するノード同士を結合し,Γn+1を形成する. この結合網は 非対称形で,ノード0が最大のリンクを持つ. Fibonacci数列の次数をnとすると,通常degreeはn-2となる. n-2 不平衡木(フィボナッチツリー)を内蔵し, 通信遅延まで含んで考えるアル ゴリズムを最適に実装することができる[223]
フィボネット Fibonacci数列に基づくが, a) Fibonacci Cubeが非対称であるのに対し て,対称性を保持する. b)任意のノード数で構成可. という特徴を持つ.このた めにリング構造を導入し, 各ノードは,正,負の両方向に f2i つま り偶数番目のfibonacci数分離れたノードとの間をリンクで結ぶ.つまり,± 3 と± 8離れたノード間をリンクで結ぶ(奇数の場合もう少し複雑である). Fibonnacci Cubeと同程度 Hypercubeより大 Fibonacci cube同様, 不平衡木を内蔵[224]
Folded Hypercube ハイパーキューブに拡張用のリンクをつけ,直径方向に折り畳む. log2 N+1 log2 N/2 本文5.3.5.
Hierachical Hypercube Hypercubeを階層化し, CCC状に接続. 完全形はサブハイパーキューブの次元m+1 Hypecubeよりやや悪いがCCCより良い. Divide and Conquerタイプの問題のアルゴリズムが検討されている[225].
ハイパクロス 不等距離間接網に属する.ADENARTに利用.本文5.4.2.参照.
Hyper Debruijn Hyper Debruijn HD(x,y)はx,次元のHypercubeとy次元のDebruijnの外積 グラフとして定義される.下の図に示すのは,HDB(2,2)をHypercubeの方の番号 (x)が同じものが近くにくるように配置した図で,2次元のDebruijn網が2次元の Hypercube状に接続されている. Debruijn網形成用の4本にx次元のHypercubeを作るためのx本が加わり 4+x. HD(x,y)の直径は,x+y. Hypercube構成のリンクを利用することによって,メッシュのエミュレー ションが可能になる[226]
Hypernet 任意の結合でビルディングブロックを作り,ブロック同士を完全結合に より多階層に結合する. Hypercubeをサブネットとして選んだ場合,次数は5か6 Hypercubeよりやや大きい. 本文5.3.4
Kautz 各ノードをr+1進D桁の番号で表わすが, この場合,同じ数字が続いては ならず,規則に反する番号は使われない. このため,自己ループができない. 2r logr 本文5.3.1.
格子らせんネットワーク トーラスに斜め方向のリンクを2本付加する. 6 ハイパーキューブより小 リンクが少ない割に直径がさほど大きくならない[233]
Lens Network 共有バス接続網に属する.図に示す構造を再帰的に結合する. MINのOmega網と等価になる[232]
MDCE/CCCB/(CB)n Multidimensional Directed Cycles Ensemble,MINのGeneralized Cube 網のエレメントをノードとし,循環ループを付けた構造を多元化した網. 3次元では6 サイクル2周分 超並列マシンRWC-1に利用. 本文5.3.2.
MDX Multidimensional X'bar,不等距離間接網のクラスで base-m n-cube,ハイパクロス,MDX-De Bruijn, MDX-Baselineなどを含む.本文 5.4.2.
MGM (Mesh with Global Mesh) メッシュ上に上位メッシュを階層的に構成していく.

再帰構造を利用して漸化式計算を効率良く行なう[227].
Midimew Midimew(Minimum Distance Mesh with Wrap-around links)は,トーラス の横方向の端を螺旋状に結合した構造. 4 トーラスより小 本文5.3.6.
n-RTN Recursive Torus Network, RDT同様上位トーラスを持つが,対角方向では なく2×4の長方形状をしている. 8 ハイパーキューブより小 階層転送アルゴリズムの実装がRDTより楽[229].
Polymorphic Torus トーラスの格子点ノードをバイパスすることのできるスイッチを利用す る.

SIMD用のアルゴリズムが開発されている.[184].
Pradhan ノード番号をr進数で表わし, 左方向に1回ローテイトした番号との間に リンクを作る. 次に,左シフトして空いた桁に,隣と違う数字を入れて作った基 本形にリンクを付加する. 2r+1 logr 本文5.3.1.
Recursive Circulant リングで結んで1次元番号を振ったノード(総数N=2m)間に, ± 4 \lceil m/2 \rceil -1だけ離れたノード間をリンクで結んで できたグラフがDN(m). m \lceil (3m-1)/4 \rceil Circulant Graphの1つ[220]
RDT/Diagonal Mesh Recursive Diagonal Torus, 2次元トーラスのあるノード(x,y)に対して, ± 2離れたノードに付加リンクを加え,45度傾いた目の粗い上位トーラスを構 成する. この上位トーラス上に, 同様のアルゴリズムで次々に上位トーラスを 構成する. 8 ハイパーキューブより小 超並列マシンJUMP-1に利用,本文5.3.6.
RTA(再帰トーラス) トーラスを分割して折り返し点にスイッチを挿入し, これによってトー ラスのサイズを変更する.

画像処理用にアルゴリズムが開発されている[185].
RTM Ring Tree on Mesh, メッシュまたはトーラスにより結合されたノード 間を, 大きさの異なる複数のリングにより階層的に結合. 8 (DTRM)
単方向リングなので光結合向き[230].
Star Graph 重ならないn個の記号の並びで表されれたノードについてあるノードは, 先頭の記号を他の任意の記号といれかえた識別子を持つノードとの間にリンク をつける.リンクはない.いれかえる対象はあくまで先頭の記号である. n-1 (ノード数n!について) 直径は3(n-1)/2(切り上げ) 本文5.3.3.
Snow Flake/Dens Snow Flake 共有バス接続網に属する.図に示す構造を再帰的に結合する. 中央がボトルネックになるため,二重化したのがDens Snow Flake[231]
SNT Symmetrical Network Topology, 2次元格子に飛び越しリンクを設けた 構造を持つ.リンクを設ける角度と,飛び越しリンクの数により,SNT-U, SNT-V, SNT-W, SNT-X SNT-XX等の結合網が得られる. 6〜8 ハイパーキューブより小 本文5.3.6.
SRT(Shifted Recursive Torus) 1次元SRTはリングにバイパスリンクを付加する構成で,2次元,3次元SRTは これを2次元,3次元状にシフトしながら並べた構造を持つ. 2次元は8 ハイパーキューブより小 結合方式はやや複雑[228].
Twisted Hypercube Hypercubeのリンクを一部を入れ換え(捻って)直径を減らす. log2 N log2 Nより減る. 本文5.3.5.
X-tree Tree構造の同一レベルのノードに対し, バイパスを付加する. 4
古くから提案されている網で, アルゴリズムやLSI実装法が検討されてい る[234].

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天野 英晴
Last modified: Tue Nov 26 23:02:46 1996