Parallel and Distributed ARCHitecture グループ.「並列分散アーキテクチャ」を研究テーマとするグループです.主にPCクラスタに関する研究を行っています.現在ある研究プロジェクトはVLANプロジェクト,ExpEtherプロジェクトの2つです.
PCクラスタとは多くのPC (Personal Computer,パソコン) をネットワークで接続して,1つの高性能なコンピュータ (スーパーコンピュータ) として動作させるというものです.クラスタ (cluster) は葡萄などの「房」の意味で,PCクラスタという言葉は1台1台のPCを葡萄の「実」に,それらを接続するネットワークを「茎」に例えて表現したものです.専用のアーキテクチャを用いたスーパーコンピュータでは1台のコンピュータの中に多数のプロセッサが搭載されていますが,PCクラスタでは,この1つ1つのプロセッサをそれぞれ1台のPCで置き換えたものと考えることができます.
スーパーコンピュータで実行するようなアプリケーションにおける計算処理は並列分散処理に適している場合が多いため,一般的にPCクラスタのコストパフォーマンスは専用のスーパーコンピュータに勝ります.また,耐障害性や拡張性にも優れるなど多くの利点があります.TOP500のウェブサイトを覗いてみると,2008年11月の時点では,8割強のスーパーコンピュータはPCクラスタで構成されていることがわかります.また,身近なところではGoogle™のWebサーチエンジンにもPCクラスタが使用されていて,大規模で高性能なシステムを安価に構築しています.
PDARCHグループでは主にPCクラスタにおけるネットワークを研究対象としています.特にPCクラスタにおける1台1台のPCを「ノード」,それを接続するネットワークを「インターコネクト」と呼ぶことが多いのですが,PDARCHグループではRHiNETプロジェクト,DIMMnetプロジェクト においてそれぞれ専用のインターコネクトを対象とした研究を行ってきました.
しかし,現存する2つのプロジェクト (VLAN,ExpEther)では共にEthernetに関係した研究を行っています.再びTOP500のウェブサイトを覗いてみると,2008年11月における,特に50位以上にランクインするシステムで用いられているインターコネクト規格はEthernet以外のものです.なぜなら,Ethernet規格における諸々の制限は,性能低下の原因になるため,性能を重視するのであれば現状ではEthernet以外の規格を用いたほうが有利だからです.しかし,TOP500全体では,5割以上のシステムにおいてEthernet (Gigabit Ethernet) がインターコネクトとして用いられています.Ethernetは性能では専用のインターコネクトに劣る分,業界標準のLAN規格なので使い易く,安価であるというのが主な理由です.
VLANプロジェクト,ExpEtherプロジェクトでは,Ethernetをクラスタシステムで利用する際に生じる諸々の問題を解決することを目的の1つとして研究を行っています.
pdarch [at] am.ics.keio.ac.jp まで.