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6 複数の開発者

複数の人間でソフトウェア開発を行なうと、色々面倒が起こります。 例えば二人の人物が、 同じファイルを同時に編集しようとすることがよくあります。 解決策の一つは、 ファイル占有 (file locking) または 独占取得 (reserved checkouts) と呼ばれるもので、 同時にファイルを編集できる人数を一人に制限するものです。 RCS や SCCS 等の履歴管理システムでは、 これが唯一の方法です。 CVS の独占取得の実装は (まだ) 美しいものではありませんが、 動作可能です (例えば、「A.5.1 admin のオプション」`cvs admin -l' コマンドを参照して下さい)。 また後述する監視機構を適切な手順を踏んで用いれば、 同時編集を避けることが可能です。

CVS の既定モデルは無条件取得 (unreserved checkouts) と呼ばれるもので、 開発者がそれぞれ自分の作業コピー (working copy) を編集します。 最初に変更を格納した人物は、 他の人物が編集を始めたことが自動的には分りません。 二番目の人物が格納する時にはエラー表示を受けますから、 CVS コマンドを用いて、 自分の作業コピーを最新のものにする必要があります。 この手順はほぼ自動化されています。

CVS は、独占取得などの規則を強制することなく、 種々の意志疎通を容易にする仕組みを用意しています。

この章の残りでは、色々なモデルの動作と、 各モデルの選択に伴なう問題点について述べます。


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