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A.5.1 admin のオプション

rcs で使用可能なオプションのうち CVS には不用なものがあります。 さらにその効果が続く限り、 CVS が使用できなくなるオプションさえあります。

以下の利用可能なオプションの説明は `rcs(1)' のマニュアルに基づいていますが、 RCS よりも CVS に興味を持っている読者に合わせて 修正しています。

-Aoldfile
CVS では使用されません。oldfile の利用者一覧を、 指定した RCS ファイルの利用者一覧に追加します。
-alogins
CVS では使用されません。RCS ファイルの利用者一覧に、 logins で指定された利用者を追加します。 logins はカンマで区切った利用者の一覧です。
-b[rev]
RCS では、rev を既定の枝にする際にこのオプションを用います。 CVS では、貼り付いたタグ (「7.4 貼り付いたタグ」参照) を用いて 作業する枝を決めるほうが良いでしょう。 CVS では、ベンダー枝に関する挙動を決定する際に このオプションが用いられます。
-cstring
CVS でも使用します。 註釈符を string にします。 註釈符は $Log$ により生成される 全ての行の先頭に挿入されます (「16 キーワード置換」参照)。 複数行の註釈を許さないプログラミング言語にとって、 この機能は非常に有用です。 RCS は、ファイルが最初に格納されたときの拡張子から 註釈符の値を推定します。
-e[logins]
CVS では使用されません。logins に含まれる利用者を、 RCS ファイルの利用者一覧から削除します。 logins が省略された場合は、利用者一覧を全て削除します。
-I
標準入力が端末でない場合でも対話的に動作します。
-i
CVS では使用されません。 RCS では、このオプションを用いて、 新しい RCS ファイルを作成したり、 リビジョンを保存せずに初期化したりします。
-ksubst
CVS でも使用します。既定のキーワード置換モードを subst にします。「16.4 置換モード」参照。 ここで既定とした方法よりも、 cvs update, cvs export, cvs checkout での `-k' オプションが優先されます。
-l[rev]
リビジョン rev をロックします。 枝番号が与えられた場合、その枝の最新リビジョンをロックします。 rev が省略された場合は、 既定の枝の最新リビジョンをロックします。 CVS のソース配布物の中の `contrib' ディレクトリの中に、 `rcslock.pl' という名前のスクリプトがあります。 これを用いて上記のロック状態を、 CVS における独占取得 (一時に一人だけがファイル編集可能な状態) に置き換えることができます。 詳細はスクリプトの註釈を参照して下さい (寄贈物の支援と権利の放棄声明文が書かれたファイル `README' も一読して下さい)。 その註釈によれば、厳格ロックモード (既定) に設定しておく必要があります。
-L
厳格にロックを求める設定 (厳格ロックモード) にします。 厳格ロックモードだと、RCS ファイルの所有者であっても、 ロックしていないファイルは格納できません。 CVS で使用する場合は、厳格ロックモードにする必要があります。 上記 `-l' オプションの説明も参照して下さい。
-mrev:msg
リビジョン rev のログ・メッセージを msg に替えます。
-Nname[:[rev]]
これ以前の name の設定を無効にすることを除けば、 `-n' と同じように働きます。
-nname[:[rev]]
枝またはリビジョン rev にタグ名 name を付けます。 通常は `cvs tag'`cvs rtag' を代わりに用いると良いでしょう。 `:'rev の両方を省略すると、タグ名が削除されます。 また name が既に使用されていた場合は、 エラー・メッセージが出力されます。 rev がタグ名のときは、相当する番号に置換されます。 枝番号の後に `.' を付けて rev に指定した場合、 その枝の現時点での最新リビジョンになります。 `:' だけで rev を指定しなかった場合、 既定の枝 (通常は幹) の現時点での最新リビジョンになります。 例えば `rcs -nname: RCS/*' は、 指定された全ての RCS ファイルの、 現時点での最新リビジョンに name というタグ名を付けます。 一方 `rcs -nname:$ RCS/*' では、 各作業ファイルのキーワード文字列に含まれる リビジョンに name というタグ名を付けます。
-orange
CVS でも使用可能ですが、危険を伴ないます (下記参照)。 range に指定したリビジョンを削除します。 特定のリビジョンを指定した場合、そのリビジョンを削除します。 枝番号を指定した場合、その枝の最新リビジョンを削除します。 `rev1:rev2' では、 同じ枝の rev1 から rev2 迄の全リビジョンを削除します。 `:rev' は、同じ枝の開始から rev までのリビジョン全てを、 `rev:' は、同じ枝の rev 以降のリビジョン全てを削除します。 削除するリビジョンに枝やロックがあってはいけません。 rev に枝を指定する場合、CVS では特殊な方法で枝を扱うため、 枝のタグ名を指定してはいけません。 この理由については 「D.1 魔法の枝番号」 を参照して下さい。 削除する前に、誰もそのリビジョンの作業コピーを 持っていないことを確認する必要があります。 削除後に、そのリビジョンの作業コピーを編集したり 格納したりしようとすると何か異常な事態が発生します。 このため、誤って格納したリビジョンを取り消すのに、 このオプションを用いるのはあまり良い方法とは思えません。 やはり、誤って変更した箇所を元に戻して、 再度格納することを強く勧めます (「8.3 二つのリビジョン間の差分をマージする」参照)。
-q
簡素な (quiet) 表示、つまり実行時に診断情報を表示しません。
-sstate[:rev]
CVS でも使用します。 リビジョン rev の状態を識別する文字列を state にします。 rev が枝番号の場合、その枝の最新リビジョンの状態を変更します。 rev を省略すると、既定の枝の最新リビジョンを変更します。 state には、どのような文字列を用いても構いません。 通常使用されるのは、`Exp' (実験段階), `Stab' (安定動作), `Rel' (出荷済) といった組み合わせです。 既定では、新しく作成されたリビジョンの状態は `Exp' にされます。 各リビジョンの状態は、`cvs log' (「A.12 log---ファイルのログ情報を表示」参照) の出力や、 キーワード `$Log$', `$State$' (「16 キーワード置換」参照) の内容で確認できます。 ここで、CVS が dead という状態を 独自の目的で用いることに注意して下さい。 dead 状態を扱う際には、cvs removecvs add といったコマンドを使用し、 `cvs admin -s' を使用してはいけません。
-t[file]
CVS でも使用します。 RCS ファイルの説明文を file の内容に書き換えます。 file のパス名は `-' で始まってはいけません。 file が省略された場合、標準入力が用いられ、 ファイル終端 (EOF) もしくは `.' のみの行で終了します。 対話が可能な場合はプロンプトが出ます (`-I' 参照)。 各ファイルの説明文は `cvs log' (「A.12 log---ファイルのログ情報を表示」参照) の出力で確認できます。
-t-string
`-tfile' と同様です。 RCS ファイルの説明文を string に書き換えます。
-U
厳格にはロックしない設定 (非厳格ロックモード) にします。 非厳格ロックモードだと、RCS ファイルの所有者ならば、 ロックしていないファイルも格納できます。 CVS で使用する場合は、厳格ロックモードにする必要があります。 上記 `-l' オプションの説明も参照して下さい。
-u[rev]
このオプションを CVS で使用する際の説明は、 上記 `-l' オプションを参照して下さい。 リビジョン rev のロックを解除します。 枝を指定した場合、その枝の最新リビジョンのロックを解除します。 rev を省略すると、その人物が行なった最後のロックを解除します。 通常は、ロックを掛けた人物だけがロックを解除できます。 誰か他の人物がロックを解除した場合には、 ロックを掛けた人物にメールが送信されます。 このメールにはロックを解除した理由等が書き添えられます。 連絡文はロックを解除した人物が入力し、 ファイル終端 (EOF) もしくは `.' のみの行で終了します。
-Vn
バージョン n の RCS の動作を模倣します。 `-Vn' を用いて、 バージョン n の RCS が理解できない情報を廃棄し、 バージョン n で認識できるように RCS ファイルを変換します。
-xsuffixes
CVS では使用されません。 suffixes に RCS ファイルの拡張子を指定します。


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