学部3年生向けのSEDグループ紹介

Last modified: 2004.11.29

SEDグループでは何をやっているの?

天野研究室(以下,ふんが研)では,独自のさまざまなハードウェアの研究を行っています. このため,せっかくコンピュータを作っても既存のソフトウェアをそのまま利用する事ができないのです.

そこで,我々SEDグループでは,ハードウェアの各プロジェクトと協力して,開発したコンピュータ用のソフトウェアの開発を専門に行っています.

具体的にどんなことをやっているの?

1. OS・コンパイラの開発

みなさんがパソコンで何かのアプリケーションを使おうとした場合,オペレーティングシステム(OS)が必要ですよね. しかし,ふんが研で開発されたコンピュータでは,WindowsやLinuxがそのまま動くわけではありません. そこで,SEDグループでは,開発したコンピュータ用のOSを実装しています.

とは言え,いきなりWindowsやLinuxのような高度なOSを実装するのは無理があるので,まずはOSよりももっとハードウェアに近いプログラム,モニタを実装していきます. モニタは,コンピュータの電源を入れた直後から動作を開始し,各デバイスの初期化,メモリのチェック,他のプログラムのロードなど,ハードウェアを動かす上で最低限必要となる処理を行います.

さて,OSやモニタさえあればコンピュータは使えるでしょうか? アプリケーションプログラムを利用したいと思っても,今あるソフトウェアは動かないわけですから,アプリケーションは開発するしかありません. でも,プログラムを書いてアプリケーションの開発を行おうとした場合,コンパイラが必要ですよね. SEDグループでは,コンパイラの開発も担当しています.

2. アプリケーションの開発

OS・モニタやコンパイラが実装されていれば,いよいよアプリケーションを開発してコンピュータを利用することができます. ただ,ふんが研で開発しているハードウェアは,主に実験機として学術的な評価の対象にすることを目的としていますので,例えばどれくらい速いのか,といったことを実際に世に示す必要があります. そこで,SEDグループでは,開発したハードウェアの性能評価やデモンストレーションに用いるアプリケーションの実装も行っています.

3. デバッグ環境の整備

ふんが研で開発しているコンピュータには,ディスプレイやキーボードなどのごく一般的な周辺機器さえついていません. よって,直接操作することもできません. そこで,SEDグループでは,開発中のハードウェアにネットワーク経由で接続し,リモートで操作できるような開発環境を整えています.

また,開発中ハードウェアをデバッグする際には,プロセッサやメモリなどの資源がどのように使われているかを把握する必要があります.そこでSEDグループでは,これらの情報をリアルタイムでグラフィカルに表示できるようなパフォーマンスモニタの作成も行っています.

4. シミュレータの開発

新しいハードウェアの性能というのは,残念ながら実際に作ってみないと分かりません. しかし,実際に作るとなると,開発に莫大なコストがかかります. 「作ってはみたものの,思ったように性能が出なかった」というのでは,いくらお金と時間があっても足りません.

そこで,シミュレーションを用いて,これから開発しようとするハードウェアの動作をシミュレートします. これにより,本物のハードウェアを作る前に,ある程度その性能を予測できるようになります.

しかし実際には,新しいハードウェアを開発しようとするたびにそのシミュレータを作っていたのでは,それだけで大変なコストがかかってしまいます. そこで,SEDグループでは,「ハードウェアシミュレータを作るためのツール集」を開発しています. このツール群を用いることで,さまざまハードウェア用のシミュレータを簡単に作ることができるようになります.

SEDグループに少しでも興味を持ってくれた皆さんへ

現在やっているのは上に挙げたようなテーマですが,それ以外のことはやらないのか,というとそんなことはありません. 新しいテーマはたくさんありますし,むしろ人手が足りないというのが現状です.

要するに,コンピュータアーキテクチャに関係するテーマで,ソフトウェアのことであれば何でもありです. ふんが研では,さまざまなアーキテクチャを持ったハードウェアを開発していますので,SEDグループではソフトウェアに関するかなり広い範囲のことを扱っています. 特にシステムに近い部分のソフトウェアを直接研究するのは,ほぼふんが研(まあ,もしくは安西・山崎研)でしかできないと思っていいです.

ふんが研やSEDグループについて何か質問がありましたら,sed=am,ics,keio,ac,jp までお気軽にどうぞ(=は@に,,は.に読み替えて下さい). 3年生のための天野研紹介のページもぜひご覧下さい.